「リソースコンテンツ」は記事だけではない
■「リソースコンテンツ」は記事だけではない、ランニング体験を充実させるNike+
AB両社の実例比較では、ターゲットの課題解決を念頭に置いているかどうかが、「リソースコンテンツ」と「単なるコンテンツ」の違いだと解説した。
だからユーザーの課題解決を実現できていれば、形式はWeb上の記事に限らない。違う形の優れた「リソースコンテンツ」の実例として、「Nike+」の例も紹介している。
Nike+は、ランニングしたルート・距離・時間・ペース・消費カロリーなどを表示・記録できるソーシャルプラットフォームだ。
スマートフォンなどで個人データを管理するだけでなく、コーチからのアドバイスを受けたり、SNSで自身のアクティビティをシェアしたりと、さまざまな楽しみ方ができる。
幅広いコンテンツのベースになっているのは、ユーザーの課題解決にフォーカスした姿勢。この場合のユーザーが抱える課題とは、「ランニングを続けるためのモチベーションの維持が難しい」ということ。
そこでNike+が掲げる課題解決のテーマが、「ランニングのプロセスを記録・共有することで、モチベーションを維持し、よりよいトレーニングを行う」だ。
もしこのような明確なゴールがなければ、課題の一部分を断片的に解決するコンテンツにとどまり、今のようにユーザーの課題に対して根本的に応えるサービスにはなっていなかっただろう。
またこのサービスは、エンゲージメントから購入までをスムーズにつなげることができる点でも優れている。
Nike+を愛用していくうちに、よりそのサービスを追求したいという思いが生まれ、ランニング時間を記録できるSportWatchなど、有料のNike Fuel商品の購入につながることが期待できる。
「リソースコンテンツ」の成功要因とは、ユーザー視点での課題解決策の提供と、企業視点での販売戦略をうまく融合させている点ではないだろうか。
ユーザー視点になりすぎても感謝はされるが、販売に結びつかないことがある。また企業視点になりすぎると、コンテンツ自体が読まれなくなる。このバランスを取ることが重要で、こうしたバランスを思いつきで作ったコンテンツやサイトで取ることは難しく、あらかじめ綿密にシナリオを練る必要がある。それが、このサイトで繰り返し触れてきたコンテンツ戦略の重要性だといえるだろう。
課題解決の視点が欠けたB社のコンテンツ
■課題解決の視点が欠けたB社のコンテンツ
次に課題解決を念頭に置いていないために、「単なるコンテンツ」にとどまってしまっている例を紹介する。
ここで説明するB社は、アメリカとカナダで店舗展開しているホームセンター。住まいのリフォーム・メンテナンス関連商材や家電を扱っている。
一見して先のA社と同様、B社のホームページにも商品情報だけでなくハウツーやアイデアが充実しているように見える。
たとえばハウツー関連のコンテンツがまとめられた「Library」には、収納計画の立て方、トイレの修理方法、芝生の管理方法、家具の塗り替えテクニック、星条旗の飾り方など、さまざまなターゲットニーズを満たすためのコンテンツが豊富に用意されている。
しかし、ユーザーの課題をうまく解決できていないため「単なるコンテンツ」になってしまっているのだ。
まず、必要な情報にスムーズにたどり着くことが難しい。コンテンツがある程度カテゴライズされているとはいえ、その分類方法がユーザー視点ではないためだ。
たとえば「ブログ」「クリスマス」といったあいまいな分類名からは、自身の課題を解決できるコンテンツの有無を判断することが難しい。
コンテンツが多すぎる点も問題だという。たとえば庭に関するコンテンツだけでも1,000本以上の記事がある。これではターゲットが探している課題解決方法にスムーズにたどり着くのは至難の技だ。
また苦労してコンテンツにたどり着いた後にも問題がある。画像や動画も駆使して分かりやすいコンテンツを手掛けたA社と異なり、テキストのみのコンテンツが多いのだ。
別のあるコンテンツでは、ベビー服の収納法や、適切なフローリング、ペットの扱い方まで、幅広い情報が並べている。
しかし単なるテキストでの説明のみにとどまっている。
画像や動画などを活用してわかりやすく伝えることも、効果的な課題解決を実現する大切なファクターとなることを覚えておきたい。
さらにそのテキストでの説明も不十分であるようにみえる。「快適な家」とは何で、それぞれの項目がどう貢献するのかといったつながりが説明されていないため、断片的な情報の羅列にとどまっているからだ。根本的な課題解決につながっているかという点においては、力不足だと言わざるを得ない。
【単なるお役立ち記事では不十分!成果につながるコンテンツマーケティングとは?】
【単なるお役立ち記事では不十分!成果につながるコンテンツマーケティングとは?】
にとってもらう必要がある。そのためにコンテンツの役割を事前に考えることが重要だ。しかし実際は、深い検討なしに単なるお役立ちコンテンツを漠然と量産しているだけのケースも多い。
「こうした従来のコンテンツマーケティングでは、もはや効果を期待できない」。
世の中にコンテンツがあふれている中で、単なる情報提供コンテンツを量産しても、ただの「ノイズ」として埋もれやすい。
単なる情報提供にとどまるコンテンツはマーケティングゴールを達成するには力不足な「単なるコンテンツ」(Content)に過ぎないという。
一方で課題解決を実現できるコンテンツを「リソースコンテンツ」(Resource content)と呼ぶ。「Resource」という言葉には「資源」や「資産」といった意味合いがあるが、課題解決に必要な「資源」となり得るコンテンツといったニュアンスがあるのだろう。
同じコンテンツでありながら、両者にはどのような違いがあるのか?著者が示す「リソースコンテンツ」と「単なるコンテンツ」を紹介しながらその差について明らかにしていきたい。
リソースコンテンツのポイント、それはユーザーの課題解決を起点としたコンテンツ制作
「リソースコンテンツ」とは、ユーザーの課題解決を第一に考えたコンテンツだ。一方「単なるコンテンツ」は、情報提供にとどまってしまっているため、ユーザーが抱える課題をうまく解決しきれない場合が多い。その差が販売増やリード獲得などの目的をうまく達成できるかの分かれ目になるとしている。
著者によると、課題解決を念頭に置いている「リソースコンテンツ」の優れた点とは、必要最小限のコンテンツでユーザーの課題を解決するだけでなく、目的のコンテンツを探しやすいよう、分かりやすくカテゴライズされていることだという。
「リソースコンテンツ」は、具体的にどのように展開されているのか。実例をいくつか交えてその特長を明確にしてみよう。
あるDIYのA社コンテンツが「リソースコンテンツ」として優れている点は、課題解決に必要なすべての情報を単一のコンテンツ内に収めていること。さらに目的のコンテンツを探しやすいよう、それぞれが適切にカテゴライズされていることだ。この2点が迅速な課題解決を可能にしているというのだ。
まずは一つ目の「課題解決に必要な情報を一ページ内に収めている」という点をみてみよう。一例となるのは、壁の塗装に関するハウツーページだ。
最初の工夫の一つが、冒頭に掲載されている動画だ。用途に応じた塗料や道具の選び方といった内容が3分で端的にまとめられている。ボリュームの大きいコンテンツに目を通してもらう前に、まずは動画で作業のイメージを伝えるという狙いだろう。
動画で概要を伝えた後には、作業前に必要な情報や準備を紹介している。
塗装のメリットや作業前の下準備などを記載したテキスト情報。壁を塗装することで生まれるメリット、塗料を選ぶときに考慮したいポイントなど、充実したテキスト情報が続く。「事前に準備すること」「安全確保のためのポイント」「DIYでの節約のコツ」など項目を立てることで、飛ばし読みがしやすいように構成されているのもポイントだ。
次に紹介されているのは、準備する道具や材料。塗装に必要なツールが一覧で紹介されており、何を購入しなければいけないかが一目瞭然だ。
一つ一つの項目をクリックすると該当する商品ページにリンクし、A社のECサイトで簡単に購入できるようになっている。この部分が売上の要となるわけだが、道具や材料を揃えてDIYを行うことのメリットをここまででしっかりと語っているため、商品ページでの購入率も高まることが予想される。
最後はハウツーをわかりやすく説明した動画だ。
塗装前の下準備から塗装のコツまで、9つの各ステップを動画とテキストで説明している。
ここでのポイントは2点。
一つは、動画をいくつかのプロセスに分割していること。一本にまとめてしまうと、ターゲットが確認したいプロセスにたどり着くのが非常に困難になる。動画を短く切り分けることで、ターゲットが確認したいプロセスをすぐに見つけられ、何度も繰り返し見ながら作業をすることができるようになる。
もう一つは、動画の内容を文字情報でも掲載していること。環境によっては動画を確認しながら作業することが難しいケースもあるため、印刷して確認できるように、との心配りが感じられる。
このように,ターゲットの課題を解決する情報が1ページ内にきっちりまとめられているため、ユーザーは必要な情報を求めて複数のページを探し回る必要がない。
次にサイト設計。同サイトでは、「キッチン」や「照明」などといったカテゴリーの中に、「DIY」や「購入ガイド」などといった目的別にコンテンツが収まっている。ユーザーニーズに沿った構造になっていることで、探している情報にストレスなくたどり着けるようになっている。
より情報ニーズが高くアクセス数の多いカテゴリーはトップに画像とともに表示。その他のカテゴリーについてもページ左部のナビゲーションから簡単にたどり着けるようになっている。
ECサイトのコンテンツマーケティング
集客と販売に貢献するハウツーコンテンツ
ECサイトにハウツーコンテンツを掲載することで、どのような効果を期待できるのか?大きくは集客増と販売増だという。細かく分けると以下になる。
1.見込み客の課題を解決できる
見込み客が抱える課題を解決してあげることで、サイトへの印象を良くすることができる。たとえ初回の訪問で購入に至らなくても、その後の購入につなげやすくなる。
2.検索結果画面で上位に表示することができる
購入につながり得る検索キーワードで、上位に表示することができる。これらのキーワードは、ロングテール寄りで競争が激しくないことも多い。
3.目的意識の高い見込み客を集客できる
検索経由で流入してくるユーザーは、何らかの疑問や課題を持っているはず。そのニーズを解決する手段として自然に商品を紹介すれば、購買につながる可能性が高くなる。
4.継続的な流入を見込むことができる
検索上位に表示されるコンテンツを作るには手間がかかるかもしれない。しかし一度上位表示されてしまえば、ある程度の間は自動的にユーザーを引き寄せてくれる。
5.専門家としての地位を確立できる
ユーザーの役に立つ専門知識を提供していくことで、商品やブランドへの信頼が増すだろう。
6.ユーザーによるシェアを期待できる
役立つコンテンツであれば、ユーザーにシェアされる可能性が高い。そうすればさらなる拡散を期待できるだろう。
7.動画であれば、検索結果におけるより高いクリック率を期待できる
ハウツーコンテンツは、テキストだけでなく動画で作られることも多い。検索結果画面において、動画はテキストよりクリックされやすい傾向にある。
8.販売につながる
ハウツーコンテンツによって、購買に導くことができる。例えば、ジーンズを検討しているものの、自分に合ったサイズが分からない見込み客がいたとする。体のどこを測ればぴったりのサイズを見つけることができるかなどのハウツーコンテンツを提供できれば、ジーンズの購入につながる可能性は高まるだろう。